沖縄で幽霊を待ってたら健康になった話
突然ですが、高校の修学旅行ってどこ行きました?
僕は沖縄です。(なぜか11月に)
これはその時の話です。
当時まだ本州から出たことがなかった僕。
やたらアメリカンなハンバーガーやステーキを食べて気分はウキウキです。
日中は普通に楽しんで、ホテルへ向かうことに。
旅行ってなんだかんだ一番楽しいのは移動とホテルなんですよね。
前日のホテルは恐ろしいほどキレイで、期待していました。
到着。
僕「楽しみだな〜〜」
友「団地みたいなとこに着いたぞ」
僕「いやいやそんな……」
ボロッボロの団地でした。
『童夢』『仄暗い水の底から』『残穢』みたいなのを想像してみてください。
ほとんど一緒です。
僕は軽い潔癖症なので、テンションは一気に天界から地下100mへ。
汚ぇ〜し飯がマズい。カレーがマズいってどういうことだよ。
おまけに、食堂にカブトムシがいました。
(帰りてえ〜〜)
本心はそれだけでした。ところが、
友「ここ幽霊出るらしいぞ」
その一言で飛び起きました。
何を隠そう、僕はオカルトに関しては三度の飯くらい好きなのです。
聞けば、全部屋に付いているベランダ(普通のアパートみたいなやつ)から赤い服を着た女がゆっくりと登ってくるとのこと。
怪しいオカルトサイトの情報で、長髪だの、血まみれだの、細かいところは違っていましたが要点は同じ。
女が来る。
こうなったら寝てなどいられません。
僕とその多数名は、夜通し幽霊様の到着を待つことに……。
〜8時間後〜
待てど暮らせど幽霊は現れず。
クリスマスに郵便受けを覗く子どものようにベランダを往復していた僕らでしたが、途中で目的は大富豪に切り替わり(めちゃくちゃ楽しかったです)、朝5時には僕ともうひとり以外寝てしまっていました。
僕「結局出なかったな」
友「……」
眠気からか返事をする気力もないようです。
もはや深夜というより早朝という時間。
寝るくらいだったら起きていたほうが良い。
そう考えてテレビを付けると……
テンテテテン テテン テテン
「おはよう! 琉球体操〜〜」
やたら雅な音楽とともに、健康番組が始まりました。
その番組はやたら細マッチョなおじいさん(琉球空手かなにかのすごい人らしい)が、和風屋敷の庭先みたいなところで体操をするというもの。
僕と友はバキ(アニメ絶賛放送中)が好きだったので、
「これ中国拳法じゃん!やってみようぜ!」
と挑戦することに。
体操は太極拳のようなゆったりしたもので、すべての動作の最後に胸の前で型を作る(烈海王のあいさつみたいな感じ)のが特徴。
動作はゆっくりなのにこれがなかなかキツイ。
腕が上がらなくなってくるし、汗が吹き出してくる。
30分くらいしたところで、おじいさんがどこからともなくタオルを取り出し、ブンブン振り回したところでフィニッシュしました。
いつの間にか眠気は吹き飛んでいました。
だるかった体も火照って火照って、マラソン直後のような感じ。
あんなに気持ちよく運動したのはあれ以来ないかもしれません。
僕たちは「おはよう 琉球体操」にいたく感激し、幽霊のことなどすっぱり忘れて帰宅したのでした。
沖縄サイコー!!
ジーマミー豆腐とソーキそばがまずかったけど。
次は夏に来ます。
家に帰った僕は他の体操を調べようと、ネットで「おはよう 琉球体操」を検索しました。
あれから5年くらい。
未だに番組の存在を確認できていません。
あのおじいさんは何者だったのか。
知っているという方は情報をください。
お待ちしております……。
(「近所に突如現れた洋館へ行き、帰りにその家の窓から白骨死体を見つける」というちびまる子ちゃんの話も見た覚えがあるのですが特定できません。教えてください。)